「お酒は1日どのくらいまでなら飲んでも大丈夫ですか?」という質問を診察室でいただくことがあります。
ビール、ワイン、日本酒など種類によってアルコール度数が違うため、「何杯飲んだか」だけでは飲酒量を正確に判断できません。そこで大切になるのが、実際にどれくらいのアルコールを摂取したかを示す「純アルコール量」です。
お酒は適量を意識することが大切ですが、最近では「ここまでなら誰にとっても安全」という飲酒量はないと考えられています。今回は、健康を守るための飲酒量の考え方についてお話しします。
📏 飲酒量は「純アルコール量」で考えます
お酒に含まれるアルコールの量は、種類や濃さによって異なります。
純アルコール量は、次のように計算できます。
飲酒量(mL)×アルコール度数(%)×0.8
たとえば、アルコール度数5%のビール500mLには、約20gの純アルコールが含まれています。
純アルコール約20gに相当する代表的なお酒の目安は、おおよそ次の通りです。
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ビール(5%)……500mL
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日本酒(15%)……約1合(180mL)
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ワイン(12%)……約200mL
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チューハイ(7%)……約350mL
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ウイスキー(43%)……約60mL
同じ「1本」「1杯」でも、アルコール度数が高ければ摂取するアルコール量は多くなります。最近は度数の高い缶チューハイなどもありますので、ラベルのアルコール度数を確認する習慣をつけましょう。
⚠️ 「男性40g・女性20g」は適量という意味ではありません
健康に関する資料では、1日あたりの純アルコール量が男性40g以上、女性20g以上になると、生活習慣病のリスクを高める飲酒量として示されることがあります。
ただし、ここで注意したいのは、男性は40gまで、女性は20gまでなら安全という意味ではないことです。
アルコールによる健康への影響は、飲む量が多くなるほど高くなる傾向があります。また、病気によっては少ない飲酒量でもリスクが高まることが知られています。
そのため、「基準までなら飲んでよい」と考えるのではなく、飲酒量はできるだけ少なくすることが健康上のリスクを減らすことにつながると考えるのが大切です。
📅 飲酒の頻度はどのくらいがよいのでしょうか?
「毎日少しずつなら大丈夫ですか?」という質問もよくあります。
健康を考えるうえでは、毎日飲酒する習慣をつくらず、お酒を飲まない日を設けることが大切です。
具体的に「週に何日までなら必ず安全」と一律に決められるものではありませんが、少なくとも毎日の習慣にせず、週の中に飲酒しない日を複数つくることを意識するとよいでしょう。
たとえば、普段から毎日晩酌をしている方であれば、まずは週に2日程度、お酒を飲まない日をつくるところから始めるのも一つの方法です。
ただし、休肝日をつくったからといって、ほかの日にまとめてたくさん飲んでよいわけではありません。「週の合計量」と「1回に飲む量」の両方を少なくすることが重要です。
「平日は飲まないから、週末にまとめて飲む」という飲み方は、一度に多量のアルコールを摂取することになり、身体への負担が大きくなります。
🧑⚕️ お酒に強い・弱いだけでは健康への影響は判断できません
「私はお酒に強いから大丈夫」と思っている方もいるかもしれません。
確かに、アルコールを分解する能力には個人差があります。しかし、顔が赤くならない、酔いにくいということと、アルコールによる臓器への影響がないということは同じではありません。
飲酒量が多い状態が続くと、脂肪肝や肝障害、高血圧、中性脂肪の上昇などにつながることがあります。また、飲酒は一部のがんや脳卒中などのリスクとも関係しています。
特に女性、高齢者、体格の小さい方、お酒を飲むと顔が赤くなりやすい方などは、アルコールの影響を受けやすいことがあります。
🚫 飲酒を控える、または避けたほうがよい人もいます
健康状態によっては、飲酒量を減らすだけでなく、お酒そのものを控えたほうがよい場合があります。
たとえば、肝臓病や膵臓の病気がある方、血圧や中性脂肪が高い方、アルコールと相互作用する薬を服用している方などです。
また、妊娠中・授乳中の方、20歳未満の方は飲酒を避ける必要があります。車の運転を予定している場合も、当然ですが飲酒してはいけません。
持病のある方は、「このくらいなら飲んでも大丈夫」と自己判断せず、主治医に確認することをおすすめします。
🍽️ 飲むときに気をつけたいポイント
お酒を楽しむ場合には、「量」と「飲み方」の両方を意識しましょう。
まず、最初からその日に飲む量を決めておくことが大切です。大きなグラスやジョッキでは実際の飲酒量が分かりにくくなるため、どのくらい飲んでいるかを意識しましょう。
空腹のまま飲まず、食事と一緒にゆっくり飲むことも大切です。アルコール飲料だけを続けて飲むのではなく、途中で水や炭酸水などを飲むと、飲酒量を抑えやすくなります。
また、毎日飲むことが習慣になっている方は、お酒を飲まない日をつくることもおすすめします。
「休肝日をつくったから、ほかの日にまとめて飲んでもよい」というわけではありません。一度に大量のお酒を飲むことは身体への負担が大きいため避けましょう。
🌙 お酒を睡眠薬代わりにしていませんか?
「寝つきを良くするために晩酌をしています」という方も少なくありません。
アルコールを飲むと一時的に眠くなることはありますが、睡眠の後半が浅くなったり、夜中に目が覚めやすくなったりすることがあります。
また、寝酒を続けているうちに同じ量では眠れなくなり、少しずつ飲酒量が増えてしまうこともあります。
睡眠のために毎晩お酒を飲んでいる方は、飲酒量だけでなく睡眠そのものについて一度見直してみましょう。
🏥 健診結果と飲酒量を一緒に振り返ってみましょう
健康診断で「肝機能が高い」「中性脂肪が高い」「血圧が高い」と指摘された場合、飲酒習慣が関係していることがあります。
特に毎日お酒を飲んでいる方は、まず自分が1日にどのくらいの「純アルコール」を摂取しているのか、一度計算してみることをおすすめします。
お酒は生活の楽しみの一つでもありますので、すべての方が一律に同じように考える必要はありません。しかし、健康という点では、飲む量が少ないほどアルコールによるリスクも小さくなります。
「自分は飲みすぎなのかな?」「健診で肝臓の数値を指摘された」という方は、健診結果と普段の飲酒量を一緒に確認してみましょう。心配な場合は、医療機関で相談してください。
大府市中央町の内科・小児科・消化器内科 村瀬医院
大府市中央町2-100
医師 村瀬和敏(総合内科専門医・消化器病専門医・消化器内視鏡専門医)


