― 基礎代謝を知って、太りにくい生活を始めましょう ―
「若い頃と同じように食べているのに、体重が増えてきた」
「食事量を減らしても、なかなか痩せない」
30代以降になると、このようなお悩みを持つ方が増えてきます。
年齢とともに体重が増えやすくなる背景には、筋肉量や活動量の低下により、1日に消費するエネルギーが少なくなっていくことが関係しています。
前回の記事では、毎日の「少し多い食事」が体重増加につながることをお話ししました。今回は、もう一つの大切な要素である基礎代謝について、わかりやすくご説明します。
🧠 基礎代謝とは?
基礎代謝とは、呼吸をしたり、心臓を動かしたり、体温を保ったりするために、安静にしていても消費されるエネルギーのことです。
私たちの体は、寝ている間にもエネルギーを使っています。
1日の消費エネルギーは、主に次のようなものから成り立っています。
・生命を維持するための基礎代謝
・仕事や家事、運動などによる身体活動
・食事を消化・吸収するときに使うエネルギー
このうち基礎代謝は大きな割合を占めていますが、年齢、性別、体格、筋肉量などによって個人差があります。
📉 なぜ30代以降は痩せにくくなるの?
年齢を重ねると、意識して体を動かさない限り、筋肉量が少しずつ減りやすくなります。
筋肉は、体の中でも比較的多くのエネルギーを使う組織です。そのため、筋肉量が減ると基礎代謝も低下し、若い頃より消費エネルギーが少なくなりやすくなります。
さらに、30代以降は、
・デスクワークが増える
・車での移動が多くなる
・仕事や育児で運動時間が減る
・休日も疲れてあまり動かない
といった生活の変化も起こりやすくなります。
つまり、年齢だけで太るというより、筋肉量や日常の活動量が少しずつ減る一方で、食べる量が以前と変わらないことが、体重増加につながりやすいのです。
🍚 「同じ量を食べているのに太る」のはなぜ?
20代の頃と同じ食事量でも、消費するエネルギーが減れば、余った分は体脂肪として蓄えられやすくなります。
例えば、毎日わずかに摂取エネルギーが消費エネルギーを上回るだけでも、それが数か月、数年と続けば体重に表れてきます。
そのため、
「以前から食事量は変わっていない」
「特別に食べすぎているつもりはない」
という方でも、体重が増えることはあります。
大切なのは、自分を責めることではありません。
年齢や生活に合わせて、食べる量と動く量を少しずつ調整することが必要になってきたと考えましょう。
💪 基礎代謝を保つには筋肉が大切です
基礎代謝を急激に大きく上げることは簡単ではありませんが、筋肉量を維持したり、少しずつ増やしたりすることで、消費エネルギーが落ちすぎるのを防ぐことができます。
特に意識したいのが、太ももやお尻などの大きな筋肉です。
おすすめの運動は、
・椅子からゆっくり立ち上がるスクワット
・階段を使う
・速歩きを取り入れたウォーキング
・かかとの上げ下げ
・無理のない筋力トレーニング
などです。
最初から長時間行う必要はありません。
例えば、スクワットを1日5回から始めたり、いつもの道を10分だけ多く歩いたりするだけでも、継続すれば大切な運動習慣になります。
🚶 運動だけでなく「普段の動き」を増やしましょう
体重管理では、特別な運動だけでなく、日常生活でどれだけ体を動かしているかも重要です。
・近い距離は歩く
・エレベーターではなく階段を使う
・座りっぱなしを避け、1時間に一度立つ
・掃除や買い物を活動の機会として考える
・テレビを見ながら軽く体を動かす
このような小さな活動も、積み重なれば1日の消費エネルギーを増やすことにつながります。
ジムへ通うことが難しくても、生活の中で動く回数を増やすことはできます。
続けられる方法を選ぶことが何より大切です。
🥩 筋肉を保つための食事も意識しましょう
体重を減らしたいからといって、食事を極端に減らすと、脂肪だけでなく筋肉まで落ちてしまうことがあります。
筋肉量が減ると、さらに消費エネルギーが少なくなり、かえって痩せにくくなることがあります。
筋肉を保つためには、毎食できる範囲でたんぱく質を取り入れましょう。
おすすめの食品は、
・魚
・肉
・卵
・豆腐
・納豆
・牛乳やヨーグルト
などです。
例えば、
・朝食に卵やヨーグルトを追加する
・昼食の麺類に豆腐やゆで卵を加える
・夕食に魚や肉を適量取り入れる
といった工夫がおすすめです。
ただし、たんぱく質を多くとればとるほど痩せるわけではありません。主食、主菜、副菜を組み合わせ、食べすぎないことも大切です。
😴 睡眠不足も体重増加に関係します
寝不足が続くと、日中の活動量が減りやすくなるだけでなく、甘いものや脂っこいものを食べたくなることがあります。
また、疲れていると運動をする気力が低下し、夜遅い時間に食事をとりやすくなることもあります。
・起床時間をできるだけそろえる
・寝る直前の食事を避ける
・寝る前のスマートフォンを控える
・睡眠時間を確保する
といった生活リズムの見直しも、体重管理には大切です。
🌿 今日から始めたい3つの工夫
すべてを一度に変える必要はありません。まずは次の3つから、できそうなものを一つ選んでみましょう。
① 毎日10分多く歩く
買い物や通勤など、普段の生活に組み込むと続けやすくなります。
② 1日5回だけスクワットをする
回数よりも、毎日または定期的に続けることを優先しましょう。
③ 毎食、たんぱく質を一品意識する
卵、豆腐、魚、肉、乳製品などから無理なく選びましょう。
体重を減らすために必要なのは、数日間の厳しい努力ではありません。
小さな変化を長く続けることが、最も確実な方法です。
⚖️ 体重は短期間で判断しすぎないようにしましょう
運動や食事を見直しても、すぐに体重が減るとは限りません。
体重は、水分量、食事の時間、便通などによって日々変動します。
毎日の数字に一喜一憂するのではなく、1〜2週間単位で変化を見ていきましょう。
また、
・階段で息切れしにくくなった
・体が軽く感じる
・服やベルトが少しゆるくなった
・間食が減った
といった変化も、大切な成果です。
🏥 体重が増えてきた方へ
体重増加は、糖尿病、高血圧、脂質異常症、脂肪肝、睡眠時無呼吸症候群などにつながることがあります。
健康診断で、
・血糖値が高い
・中性脂肪やコレステロールが高い
・肝機能異常がある
・血圧が高い
と指摘された方は、体重だけでなく、体の状態も一緒に確認することが大切です。
また、短期間で急に体重が増えた場合や、むくみ、息切れ、強いだるさなどを伴う場合には、別の病気が隠れていることもあります。
当院では、体重管理、食事、運動、生活習慣病についてのご相談を承っています。無理な方法ではなく、続けられる改善方法を一緒に考えていきましょう。
🌷 まとめ
30代以降は、筋肉量や活動量が減ることで消費エネルギーが少なくなり、若い頃と同じ食生活でも体重が増えやすくなることがあります。
大切なのは、
・筋肉を維持する運動を続ける
・日常生活で動く機会を増やす
・極端な食事制限を避ける
・たんぱく質を含むバランスのよい食事をとる
・睡眠や生活リズムを整える
ことです。
「年齢のせいだから仕方がない」と諦める必要はありません。
まずは、毎日10分多く歩く、スクワットを5回行うなど、無理なく続けられることから始めてみましょう。
大府市中央町の内科・消化器内科 村瀬医院
医師 村瀬和敏(総合内科専門医・消化器病専門医・消化器内視鏡専門医)


