高校野球の地方大会も開幕し、いよいよ夏本番がやってきた感じがします。
7月中旬になると、気温も湿度も高くなり、熱中症の危険が一段と高まります。
「まだ真夏ではないから大丈夫」
「短時間の外出だから問題ない」
と思っていても、梅雨明け前後や急に暑くなった日は、体が暑さに十分慣れておらず、熱中症を起こしやすくなります。
前回の記事では、夏バテや熱中症を防ぐための食事についてお話ししました。今回は、食事以外でできる熱中症予防として、暑熱順化(しょねつじゅんか)と日常生活で心がけたい対策をご紹介します。
🌡 暑熱順化とは?
暑熱順化とは、体が少しずつ暑さに慣れ、体温を上手に調節できるようになることです。
暑い環境で適度に体を動かすことを繰り返すと、体は比較的早い段階から汗をかきやすくなります。汗をかくことで体の熱を外へ逃がしやすくなり、暑さへの負担を減らすことにつながります。
暑熱順化には個人差がありますが、一般的には数日から2週間ほどかけて徐々に進んでいくと考えられています。
ただし、一度暑さに慣れても、冷房の効いた室内で過ごす日が続いたり、しばらく運動を休んだりすると、暑さへの慣れが弱くなることがあります。
7月中旬からでも遅くありません。無理のない範囲で、少しずつ暑さに慣れていきましょう。
🚶 今からできる暑熱順化の方法
暑熱順化のために、炎天下で無理に運動する必要はありません。
例えば、
・朝や夕方の比較的涼しい時間に10〜20分ほど歩く
・通勤や買い物で少し多めに歩く
・室内で軽い体操やスクワットを行う
・無理のない範囲で湯船につかる
など、少し汗ばむ程度の活動から始めてみましょう。
普段あまり運動をしていない方は、まず5〜10分程度でも構いません。毎日できなくても、週に数回から始めることで十分です。
大切なのは、急に頑張ることではなく、少しずつ体を慣らしながら継続することです。
⚠️ 暑熱順化は「暑さを我慢すること」ではありません
暑熱順化は、暑い場所で限界まで耐える訓練ではありません。
気温や湿度が高い日、睡眠不足の日、二日酔いがある日、発熱・下痢・食欲低下などで体調が悪い日は、熱中症になりやすくなります。
そのような日は、運動や屋外作業を控えたり、時間を短くしたりすることが大切です。
活動中に、
・めまい
・立ちくらみ
・頭痛
・吐き気
・筋肉がつる
・強いだるさ
などを感じたら、すぐに中止して涼しい場所へ移動しましょう。
「あと少しだけ」と無理を続けることが、重症化につながる場合があります。
💧 のどが渇く前に水分をとりましょう
熱中症予防では、こまめな水分補給が欠かせません。
のどの渇きを感じたときには、すでに体の水分が不足し始めていることがあります。
水分をとるタイミングを、
・起床後
・外出前
・入浴の前後
・運動や屋外作業の前後
・就寝前
など、生活の中で決めておくと継続しやすくなります。
普段の室内生活であまり汗をかいていない場合は、水や麦茶などで十分なことが多いです。
一方、長時間のスポーツや屋外作業で大量に汗をかく場合は、水分に加えて塩分を補給することも必要です。
ただし、糖尿病や高血圧がある方がスポーツドリンクを日常的に大量に飲むと、糖分や塩分のとりすぎになることがあります。状況に応じて使い分けましょう。
心臓病や腎臓病などで水分・塩分の制限を受けている方は、自己判断で摂取量を増やさず、主治医にご相談ください。
🏠 エアコンを我慢しすぎないようにしましょう
熱中症は屋外だけでなく、室内でも起こります。
特に高齢者の方は、暑さやのどの渇きを感じにくく、本人が「暑くない」と感じていても、体に熱がこもっていることがあります。
「エアコンが苦手」
「電気代が気になる」
「窓を開けているから大丈夫」
と思っていても、室温や湿度が高ければ熱中症の危険があります。
温度計や湿度計を確認しながら、エアコンや扇風機を上手に使いましょう。
遮光カーテンやすだれで直射日光を遮る、風通しをよくするなどの工夫も役立ちます。
👕 外出や屋外作業では「休む時間」を先に決めましょう
外出や屋外作業では、暑くなってから休むのではなく、あらかじめ休憩の時間を決めておくことが大切です。
・通気性や吸湿性のよい服を選ぶ
・帽子や日傘を使う
・保冷剤や冷却タオルを活用する
・できるだけ日陰を選ぶ
・こまめに冷房の効いた場所で休む
といった対策を心がけましょう。
買い物、散歩、庭仕事などは、可能であれば朝や夕方の比較的涼しい時間に行うことをおすすめします。
屋外で仕事をする方やスポーツをする方は、一人で無理をせず、周囲の方とお互いの体調を確認しましょう。
😴 睡眠不足や体調不良の日は特に注意が必要です
睡眠不足や疲労があると、体温調節がうまくできず、熱中症の危険が高くなります。
暑い時期は、
・寝室のエアコンを適切に使う
・夜更かしや過度な飲酒を控える
・朝食を抜かない
・疲れが強い日は活動量を減らす
といった体調管理も大切です。
「予定どおりに動かなければ」と無理をするより、その日の体調に合わせて予定を変更することが、熱中症予防につながります。
👨👩👧👦 周囲の方の声かけも大切です
高齢者や小さなお子さんは、自分で体調の変化をうまく伝えられないことがあります。
ご家族や周囲の方が、
・普段より元気がない
・反応が鈍い
・食事や水分がとれていない
・室内がとても暑い
・ふらついている
と感じた場合は、早めに涼しい場所へ移し、水分がとれるか確認しましょう。
一人暮らしの高齢者には、電話や訪問で体調を確認することも大切です。
🏥 熱中症が疑われるときの対応
熱中症が疑われる場合は、まず活動を中止し、冷房の効いた室内や日陰などの涼しい場所へ移動します。
そのうえで、
・衣服をゆるめる
・首、わきの下、足の付け根などを冷やす
・飲める状態であれば水分や塩分を補給する
・横になって安静にする
といった対応を行いましょう。
ただし、
・呼びかけへの反応がおかしい
・意識がぼんやりしている
・まっすぐ歩けない
・自分で水分を飲めない
・けいれんがある
・休んでも症状が改善しない
場合は、重い熱中症の可能性があります。ためらわず救急車を呼びましょう。
また、水分がとれても、頭痛や吐き気、強いだるさが続く場合は、早めに医療機関へご相談ください。
🌷 まとめ
7月中旬は、暑さが本格化し、熱中症の危険が高まる時期です。
暑熱順化を意識しながら、
・涼しい時間帯に軽く体を動かす
・のどが渇く前に水分をとる
・エアコンを我慢しすぎない
・外出時は服装や休憩時間を工夫する
・睡眠不足や体調不良の日は無理をしない
といった対策を、できる範囲で続けていきましょう。
暑熱順化をしていても、熱中症を完全に防げるわけではありません。
「いつもと違う」
「少し具合が悪い」
と感じた段階で、早めに休むことが大切です。
体調不良が改善しない場合や、水分を十分にとれない場合は、無理をせず医療機関へご相談ください。
大府市中央町の内科・消化器内科 村瀬医院
医師 村瀬和敏(総合内科専門医・消化器病専門医・消化器内視鏡専門医)


