健康診断の結果の見方:HbA1c・LDL・中性脂肪・血圧・肝酵素について
健康診断の結果が届くと、どの数値が大切なのか迷ってしまう方も多いと思います。特にHbA1c、LDLコレステロール、中性脂肪、血圧、肝酵素(AST・ALT・γ-GTP)は、生活習慣病や内臓の状態を知るうえでとても重要な指標です。今回は、それぞれの数字の意味をやさしく解説していきますね。
◆ HbA1c(ヘモグロビンA1c)
HbA1cは 1〜2か月の平均的な血糖状態を示す項目です。食事や運動量、睡眠など日常生活がそのまま反映されやすい数値です。
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5.6%以下:正常
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5.7〜6.4%:境界域(予備群)
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6.5%以上:糖尿病が疑われます
甘いものや炭水化物の摂り方、運動習慣を見直すきっかけにしましょう。
◆ LDLコレステロール(悪玉コレステロール)
血管の壁に付着しやすく、動脈硬化のリスクに関わるため注意が必要な項目です。
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120mg/dL未満:望ましい
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140mg/dL以上:高め
脂質の多い食事、運動不足、遺伝体質などが影響しやすいとされています。
◆ 中性脂肪(トリグリセライド)
中性脂肪はエネルギー源ですが、多すぎると脂肪肝や動脈硬化のリスクにつながると言われています。
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150mg/dL未満:正常
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150mg/dL以上:高め
甘い飲料やお菓子、アルコール、夜遅い食事などで上昇しやすい項目です。
◆ 血圧(高血圧)
収縮期血圧(上)・拡張期血圧(下)は、心臓や血管の状態を示す大切な指標です。
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正常:120/80 mmHg 未満
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高め:130/80 mmHg 以上
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高血圧:140/90 mmHg 以上
寒さ、ストレス、塩分、睡眠不足が影響しやすく、特に冬は血圧が上がりやすい傾向があります。
◆ 肝酵素(AST・ALT・γ-GTP)
肝臓の状態を見るための重要な項目です。健康診断で「肝機能が高い」と言われることがあり、生活習慣と深く関わります。
● AST(GOT)・ALT(GPT)
主に肝細胞の状態を反映し、
数値が高い → 肝細胞に負担や炎症がある可能性が示唆されます。
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原因になりやすいもの
・脂肪肝(肥満・中性脂肪の増加)
・ウイルス性肝炎
・アルコール
・薬剤の影響など
● γ-GTP
特に アルコールの影響を受けやすい酵素ですが、脂肪肝や薬剤の影響で上昇することもあります。
少し高めと指摘された場合は、
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お酒の量を見直す
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食生活を整える
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体重管理
などで改善が期待できるケースも多いと言われています。
◆ 数値が高めだったときの生活アドバイス
これらの項目は、日々の習慣を見直すことで改善が期待できるものばかれです。今日からできるポイントをご紹介します。
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塩分と脂質を控えめに、野菜をしっかり
加工食品や外食の塩分・脂質に注意しましょう。 -
甘い飲み物・間食・夜遅い食事を控える
血糖値、中性脂肪、脂肪肝の改善につながります。 -
ウォーキングなどの軽い運動を継続
週に3〜5回、20〜30分を目安に行いましょう。 -
お酒は適量に
γ-GTPが高めの方には特に大切です。 -
睡眠とストレス管理も健康維持に重要
血圧や血糖のコントロールにも関わってきます。
◆ まとめ:健診は「未来の体からのメッセージ」です
健康診断の数値は、病気の早期発見だけでなく、これからの生活を整える大切なヒントになります。
気になる項目があったときは、焦らず、日々の習慣を少しずつ見直すことが大切です。
「この数値はどう理解したらいい?」「生活のどこを見直せばいい?」という場合は、遠慮なく医療機関に相談しましょう。
大府市中央町の内科・消化器内科 村瀬医院
医師 村瀬和敏(総合内科専門医・消化器病専門医・消化器内視鏡専門医)


